AISASモデル (G検定)

AISASモデル

1. 定義と概要

AISASモデルとは、電通(日本の大手広告会社)が2004年に提唱し、2005年に商標登録した消費者購買行動モデルです。Attention(注意)→Interest(関心)→Search(検索)→Action(購買)→Share(共有)という5段階のプロセスを表します。

たとえばSNS広告で商品を知り(Attention)、興味を持ち(Interest)、口コミサイトやECサイトで検索し(Search)、購入し(Action)、購入後にSNSでレビューを共有する(Share)という一連の流れが典型例です。買って終わりではなく、買ったあとの発信までを消費行動のうちに数えている点が、この5段階の並びの特徴です。

従来は1920年代にサミュエル・ローランド・ホールが提唱したAIDMAモデルが広く使われ、テレビや新聞といったマスメディア中心の時代の消費者心理を説明していました。しかしインターネットとスマートフォンの普及により、消費者が自ら検索エンジンやSNSで情報を収集し、購入後にレビューや口コミを発信する行動が一般化しました。

企業が一方的に情報を届けるだけでなく、消費者自身が情報を調べ、発信する側にも回るようになったわけです。こうした変化を捉えるかたちで、電通が2004年にAISASモデルを提唱し、翌2005年に商標登録したという流れがあります。

2. 試験対策ポイント

まず整理したいのは、AISASの5段階の並びです。Attention(注意)からInterest(関心)、Search(検索)、Action(購買)、Share(共有)へと進む順番と、各段階の英単語の意味の対応関係をあわせて確認しておきたいところです。

AIDMAとの違いとして、AISASはDesire(欲求)とMemory(記憶)を持たず、代わりにインターネット時代を反映したSearch(検索)とShare(共有)を含む点が取り違えやすい論点にあたります。

さらにAISASでは、Share(共有)が別の消費者の新たなAttention(注意)を喚起する循環構造を持ち、直線的に進むAIDMAとの構造の違いとしても整理しておきたいところです。

AISASの各段階は、デジタルマーケティング(インターネットやSNSを使って行う宣伝・販売促進の活動)におけるAI活用とも結び付けて理解できます。段階ごとに、そこで使われる技術を対応させると次のように整理できます。

段階 対応するAI活用
Attention(注意) 広告配信の最適化
Interest〜Search(関心・検索) レコメンデーションエンジン(利用者の好みに合いそうな商品やコンテンツを自動で選んで提示する仕組み)による商品提示、チャットボット(文字や音声で自動的に会話し、質問に答えてくれるプログラム)による疑問解消の支援
Share(共有) 感情分析(文章やSNSの投稿がポジティブかネガティブかをAIが判定する技術)

消費者が情報に触れる段階、比べて選ぶ段階、感想を発信する段階では、AIに求められる役割がそれぞれ違います。各段階に対応するAI技術群を、段階の名前とセットであわせて押さえておきたいところです。

3. 関連概念との比較・相違点

AIDMAモデルとの最大の違いは、想定する時代とプロセスの構成にあります。AIDMAはテレビや新聞が主流だったマスメディア時代の消費者行動を説明するモデルで、Desire(欲求)とMemory(記憶)を含む直線的な5段階が特徴です。一方でAISASは、インターネットやSNSが普及した時代の消費者行動を説明するモデルで、Search(検索)とShare(共有)を含み、Share(共有)が次のAttention(注意)を生む循環構造を持つ点で異なります。

観点ごとに両者を並べると、違いの輪郭がはっきりします。

観点 AIDMA AISAS
想定する時代 テレビや新聞が主流のマスメディア時代 インターネットやSNSが普及した時代
特徴的な段階 Desire(欲求)・Memory(記憶) Search(検索)・Share(共有)
プロセスの構造 直線的な5段階 共有が次の注意を生む循環

段階数はどちらも5つで同じため、見分ける手がかりになるのは含まれる段階の名前と、終点があるか循環するかという構造の違いです。

検索後の行動をさらに細かく捉えるモデルとして、AISCEASモデル(AISASをさらに細かくし、比較・検討の段階を加えた購買行動モデル)があります。AISASのSearch(検索)とAction(購買)の間にComparison(比較)とExamination(検討)を加えて7段階に細分化したモデルで、複数の商品を比較検討する購買行動をより詳細に捉える点が、AISASとの違いです。

4. ビジネス・実務での活用シナリオ

EC・小売の分野では、SNS広告でAttention(注意)を喚起し、レコメンデーションエンジンがInterest〜Search段階で利用者の興味に合う商品を提示する流れが一般的です。購入後はAIによるレビュー分析でShare(共有)された声を拾い上げ、商品開発やマーケティング施策に反映することで、顧客の声を次の商品づくりに生かす循環が生まれます。

広告・デジタルマーケティングの分野では、AIによる広告配信の最適化でAttention段階の届け先の精度を高め、Interest〜Search段階ではチャットボットが疑問解消を支援します。こうした施策は、Action(購買)に至る割合を高めるうえで欠かせない役割を担う施策です。

食品・消費財メーカーの分野では、SNS上の口コミやレビューを感情分析でモニタリングし、Share段階で広がる評判を早期に把握する取り組みが進んでいます。ネガティブな評判を早く察知できれば、商品改善やキャンペーン設計への反映が早まり、ブランドイメージの毀損を防ぐことにつながります。

5. 要点まとめ

  • AISASモデルはAttention・Interest・Search・Action・Share(共有)の5段階でインターネット時代の消費者行動を捉えるフレームワークで、2004年に電通が提唱し、2005年に商標登録しました。
  • AIDMAとの違いは、Desire(欲求)・Memory(記憶)ではなくSearch(検索)とShare(共有)を含む点、および共有が新たな注意を呼ぶ循環構造を持つ点にあります。
  • デジタルマーケティングの各段階には、AIによる広告最適化・レコメンデーション・感情分析といったAI活用技術が対応します。

6. 確認問題

問1AISASモデルは、Attention・Interest・Search・Action・Share(共有)の5段階から構成され、検索と共有を含む点がAIDMAモデルとの違いの一つである。

解答・解説をみる

○ 正しい

AISASはインターネットやSNSでの検索・共有という行動を反映しており、AIDMAには無いSearch(検索)とShare(共有)を含む点が両モデルの違いとして整理されます。5段階の並び自体もあわせて確認しておきたいところです。

問2AISASモデルでは、購入後のShare(共有)が別の消費者の新たなAttention(注意)を喚起し、購買プロセスが循環する構造として説明される。

解答・解説をみる

○ 正しい

SNSやレビューサイトで共有された感想が別の消費者の認知のきっかけとなる点がAISASの特徴で、直線的なAIDMAとの構造の違いにあたります。

問3AISASモデルはAIDMAモデルよりも先に提唱された古典的な消費者行動モデルであり、AIDMAはインターネット普及後に登場した新しいモデルである。

解答・解説をみる

× 誤り

順序が逆です。正しくはAIDMAが1920年代にサミュエル・ローランド・ホールによって提唱された古いモデルで、AISASは2004年に電通がインターネット・SNS時代の消費者行動を反映して提唱した、より新しいモデルです(2005年に商標登録)。