ユークリッド距離 (G検定)

ユークリッド距離

1. 定義と概要

ユークリッド距離とは、2点間の座標(点の位置を数値の組で表したもの。たとえば横の位置と縦の位置の組)の差、つまり横方向の差と縦方向の差をそれぞれ二乗して合計し、その合計の平方根を取ることで求める直線距離のことです。この計算の発想は、直角三角形の直角をはさむ2辺の長さから斜辺の長さを求める三平方の定理(ピタゴラスの定理。直角をはさむ2辺の長さから斜辺の長さを求められるという定理)を、2点間の距離計算に当てはめたものにあたります。

地図上でA地点とB地点を定規で一直線に結んだときの長さが、ユークリッド距離の身近な例です。この考え方は2次元の座標だけでなく、3次元以上の座標空間でも同じように使えます。座標の数が増えても、それぞれの方向の差を二乗して合計し平方根を取るという手順は変わりません。

データ同士がどれくらい似ているかを比較する場面では、以前は人の感覚的な近さの判断に頼ることが多くありました。しかしコンピュータにデータの近さを判断させるには、近さを数値として定義する必要があります。

そこで、幾何学の分野で馴染み深い直線距離の考え方を、そのままデータの座標空間に当てはめたのがユークリッド距離です。機械学習で距離や類似度を測る指標の中でも、もっとも基本的な選択肢として広く使われています。

2. 試験対策ポイント

まず押さえておきたいのは、ユークリッド距離の計算方法とその成り立ちです。座標の差を二乗して合計し、平方根を取るという手順は、三平方の定理を2点以上の座標に当てはめたものであるという理解が、ここでの要点です。

また、数式の表記ではユークリッド距離はL2ノルム(ユークリッド距離の計算方法を数式として一般化した呼び方)という呼び方に対応します。一方でマンハッタン距離(碁盤目状の道を移動するように、縦と横の移動距離をそれぞれ合計した距離)はL1ノルムに対応するという用語の対応関係も、あわせて押さえておきたい点です。

新しいデータに近い訓練データを参考にして分類や予測を行うk近傍法(新しいデータに近い訓練データを参考にして分類や予測を行う手法)では、データ同士の近さを測る指標として一般にユークリッド距離が使われます。データを似た者同士のいくつかのグループに自動で分けるk-means法(データを似た者同士のk個のグループに自動で分ける手法)でも、同様にユークリッド距離が使われます。この結び付きも試験の論点になります。

ただし、特徴量(データの特徴を数値で表したもの)ごとに単位や尺度が大きく異なるデータに、そのままユークリッド距離を使うと、値の大きい特徴量の影響が強く出てしまいます。そのため、特徴量ごとの単位や尺度をそろえる正規化・標準化(特徴量ごとの単位や尺度をそろえる前処理)とセットで扱われる点も試験対策として重要です。ユークリッド距離とマンハッタン距離の計算方法の違いについては、次節で詳しく整理します。

3. 関連概念との比較・相違点

関連する指標との違いで重要な軸になるのが、マンハッタン距離との計算方法の違いです。どちらも2点の離れ具合を測る指標ですが、測り方の考え方が異なります。両者の違いは次のように並べると整理しやすくなります。

指標 距離の測り方 移動のイメージ
ユークリッド距離 横の差と縦の差から三平方の定理で求めた直線の長さ 2点を定規で一直線に結ぶ
マンハッタン距離 縦方向と横方向の移動距離をそれぞれ合計した長さ 碁盤目状の道路を曲がりながら進む

ユークリッド距離が2点を直線で結んだ最短距離であるのに対して、マンハッタン距離は斜め方向への移動を含みません。同じ2点間で比べると、マンハッタン距離のほうがユークリッド距離以上の値になるという大小関係も、比較の軸になります。直線で近道できる分、ユークリッド距離のほうが値が小さくなる、という関係にあります。

もう一つ混同しやすいのが、コサイン類似度(2つのデータの向き、つまり角度がどれだけ近いかを表す指標)との違いです。ユークリッド距離が2点間の隔たりの大きさそのものを測るのに対し、コサイン類似度は2つのベクトル(向きと大きさを持つ量。ここではデータを座標の組として表したもの)が向いている方向の近さを測ります。

何を測るかという観点が異なるため、値の大きさの違いに影響されにくいコサイン類似度のほうが適する場面もあります。

4. ビジネス・実務での活用シナリオ

小売業のレコメンデーションでは、価格帯や購入頻度など商品の特徴を座標として表し、ユークリッド距離が近い商品同士をおすすめとして提示する仕組みの基礎に使われます。数値化された特徴の近さを機械的に計算することで、担当者の勘に頼らず好みの近い商品を絞り込めるという効果があります。

顔認証・画像照合の分野では、顔画像から抽出した特徴量ベクトル同士のユークリッド距離を比較し、距離が一定の基準より近ければ同一人物と判定する仕組みに使われています。登録データとの近さを数値の基準で自動照合できるため、目視確認に比べて大量のデータを一定の基準で処理できます。

製造業の異常検知では、正常なデータの分布の中心からのユークリッド距離を使って外れ度合いを測り、距離が大きいデータを異常の疑いがあるものとして検出する手法があります。数値化した距離の大きさを判断材料にすることで、人の目視だけに頼らない基準で異常を見つけられるため、品質管理の現場でも活用されています。

5. 要点まとめ

  • ユークリッド距離とは2点間の直線距離を表す指標で、座標の差を二乗して合計し平方根を取る計算方法(三平方の定理を当てはめたもの)により求まります。
  • マンハッタン距離(軸に沿った移動距離の合計)とは計算方法が異なり、数式表記ではユークリッド距離はL2ノルム、マンハッタン距離はL1ノルムに対応します。
  • k近傍法・k-means法などデータの近さを扱う手法で標準的に使われる指標であり、特徴量の単位をそろえる正規化・標準化とあわせて扱われます。

6. 確認問題

問1ユークリッド距離は、2点間の座標の差を二乗して合計し、その値の平方根を取ることで求める直線距離である。

解答・解説をみる

○ 正しい

三平方の定理を2点間の距離計算に当てはめたものであり、この計算方法がユークリッド距離の基本です。座標の差の二乗和から平方根を取るという手順が、そのままL2ノルムという呼び方にもつながっています。

問2マンハッタン距離は2点間を斜めに最短で結んだ距離を表す指標であり、同じ2点間ではユークリッド距離と常に同じ値になる。

解答・解説をみる

× 誤り

マンハッタン距離は縦方向と横方向の移動距離をそれぞれ合計する指標で、斜め方向の移動を含みません。ユークリッド距離とは計算方法が異なり、同じ2点間ではマンハッタン距離のほうが値が大きくなります。正しくは、直線距離と軸に沿った移動距離の合計という別の指標です。

問3ユークリッド距離は数式表記でL2ノルムと呼ばれる指標に対応する。

解答・解説をみる

○ 正しい

ユークリッド距離はL2ノルムに対応し、各座標の差の絶対値を合計するマンハッタン距離はL1ノルムに対応します。この用語の対応関係も試験でよく扱われます。