1. 定義と概要
レベル2の自動運転(部分運転自動化)とは、SAE J3016において、システムが限定された条件のもとで縦方向(加減速)と横方向(操舵)の両方の車両運動制御を持続的に実行する自動運転レベルです。周囲の対象物や事象を検知して危険を避ける判断をする役割は、運転者が引き続き担います。
この定義には、レベルの区分を支える二つの用語が組み込まれています。それぞれの意味を並べると、次のように整理できます。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| ODD(運行設計領域) | 自動運転システムが正常に機能できる場所や天候などの条件範囲 |
| OEDR | 周囲の車や歩行者、道路状況を見て危険を避ける判断をすること |
レベル2は、ODDという限定条件のもとで制御が働くレベルです。OEDR(対象物・事象の検知と対応)は、なお運転者の担当として残ります。制御はシステムに、監視はなお運転者にという役割分担が、レベル2の骨格になります。
具体例として、ACC(アダプティブクルーズコントロール)とLKAS(車線維持支援システム)を組み合わせた運転支援システムが挙げられます。ACC(アダプティブクルーズコントロール)は、前の車との車間距離を保ちながら自動で加減速する機能です。LKAS(車線維持支援システム)は、車が車線からはみ出さないようハンドル操作を支援する機能です。市販車に搭載されるハンズオフ機能(一定条件下でハンドルから手を離せる機能。ただし監視義務は運転者に残ります)付きシステムの多くも、このレベル2に分類されます。
従来の運転支援は、加減速か操舵かいずれか一方のみをシステムが支援するレベル1が主流でした。センサーやカメラによる画像認識技術の進歩により、縦方向と横方向の両方を同時に制御できるレベル2のシステムが市販車に広く普及しています。
ただしレベル2はあくまで運転者を主体とした「運転支援」の枠内にあり、国土交通省は自動車メーカーとの間で、レベル2以下のシステムについて「自動運転」という言葉を使わないよう合意しています。技術上の呼び名と、社会に向けた呼び名が食い違わないようにするための整理だといえます。
2. 試験対策ポイント
レベル2の定義でまず整理したいのは、縦方向(加減速)と横方向(操舵)の両方の車両運動制御をシステムが担う一方、対象物や事象の検知と対応(OEDR)は運転者が担当し続ける構造です。制御の主体と監視の主体が分かれている点は、レベル2を理解するうえでの軸になります。この構造は、レベル1・レベル3との境界を判断する土台にもなっています。
レベル1との境界は、システムが制御する範囲にあります。レベル1は縦方向・横方向のどちらか一方のみをシステムが支援するのに対し、レベル2は両方を同時に支援します。制御対象が一方から両方へ広がる変化が、レベル1からレベル2への移行を示す軸です。
レベル2とレベル3の境界は、監視主体の移行の観点で取り違えやすい点です。レベル2までは運転者がOEDRを担いますが、レベル3からはシステムがOEDRを担い、運転者はシステムからの要請があったときに運転操作を引き継ぐフォールバック(システムから運転者へ運転操作を引き継ぐこと)の義務のみを負う関係にあります。
日本では2020年に施行された道路運送車両法・道路交通法の改正で、レベル3以上が法的に自動運行装置(道路運送車両法・道路交通法上でレベル3以上の自動運転システムを指す法律上の呼び方)と位置づけられました。国土交通省などはレベル2以下を「自動運転」と呼ばず、運転支援として整理しています。SAEによる技術区分と、国内法上の呼称の違いは、対になる考え方です。
レベル2の運転支援中に生じた事故の責任は、システムではなく運転者が負うとされるのが基本です。これは監視義務が運転者に残っていることの帰結として理解される関係にあります。制御の一部をシステムに委ねていても、事故発生時の責任の所在は従来の運転と変わらない点に、レベル2の実務上の性質が表れています。
3. 関連概念との比較・相違点
レベル1(運転支援)との最大の違いは、システムが制御する範囲です。レベル1はACCによる縦方向制御、あるいはLKASによる横方向制御のどちらか一方のみをシステムが担当します。これに対しレベル2は、縦方向と横方向の両方を同時にシステムが制御する点で異なります。
制御対象の範囲が広がる一方で、周囲を監視する義務が引き続き運転者にある点は、レベル1とレベル2で共通しています。監視義務の所在が変わらないまま制御範囲だけが広がる点は、両者を見分ける手がかりになります。
レベル3(条件付運転自動化)との最大の違いは、監視主体の所在です。レベル2では運転者がOEDR(周囲の対象物や事象の検知と対応)を担い続けますが、レベル3ではシステムがOEDRを担い、運転者はシステムからの要請時にのみ運転操作を引き継ぐフォールバックの義務を負う関係になります。運転者が周囲へ注意を向け続ける必要があるかどうかが、レベル2とレベル3を分ける境界です。
三つのレベルを、システムが担う範囲と監視主体という二つの軸で並べると、境界の位置がはっきりします。
| レベル | システムが担う範囲 | 周囲の監視(OEDR)の主体 |
|---|---|---|
| レベル1 | 縦方向(加減速)か横方向(操舵)のどちらか一方の制御 | 運転者 |
| レベル2 | 縦方向と横方向の両方の制御 | 運転者 |
| レベル3 | 両方の制御に加えてOEDRも担当 | システム(要請時は運転者が引き継ぐ) |
国内では、レベル2とレベル3の境界を法制度も反映しており、レベル3以上のみが自動運行装置として位置づけられています。制御範囲で分かれるレベル1・レベル2の境界と、監視主体で分かれるレベル2・レベル3の境界は、異なる軸である点に注意が必要です。
4. ビジネス・実務での活用シナリオ
自動車メーカーの量産車では、ACCとLKASを組み合わせたレベル2の運転支援システムが国内外の市販車に広く搭載され、高速道路の渋滞時における追従走行などで運転負荷の軽減に活用されています。
監視義務が運転者に残る前提のシステムである点は、実装上の制約になっています。制御をシステムに任せられる範囲が広がっても、周囲を監視する役割は運転者側に残り続ける設計だといえます。
保険・事故対応の分野では、レベル2の運転支援中に生じた事故はシステムではなく運転者が責任を負う整理が基本とされています。保険会社の損害賠償実務や被害者救済の枠組みは、運転者を主体とした従来の自動車事故の枠組みと同様に設計されています。
この整理のもとでは、対人・対物賠償を担う従来型の自動車保険がレベル2搭載車にもそのまま適用され、保険会社が新たな補償区分を用意する必要は生じていません。運転支援システムの普及が進んでも、責任の考え方そのものは大きく変わっていない領域だといえます。
5. 要点まとめ
- レベル2(部分運転自動化)は縦方向(加減速)と横方向(操舵)の両方の車両運動制御をシステムが担うが、周囲の監視義務(OEDR)は運転者に残ります。
- レベル1は制御対象が縦方向・横方向のどちらか一方のみである点でレベル2と異なります。
- レベル2とレベル3の最大の違いは監視主体の移行(運転者→システム)で、国内では2020年の法改正によりレベル3以上のみが「自動運行装置」として法的に位置づけられています。
6. 確認問題
問1レベル2(部分運転自動化)では、縦方向(加減速)と横方向(操舵)の両方の車両運動制御をシステムが担う一方、運転者は周囲の監視義務を負い続ける。
解答・解説をみる
○ 正しい
レベル2の定義そのものです。制御はシステムが両方を担いますが、対象物・事象の検知と対応(OEDR)は運転者が引き続き担当します。
問2レベル2では周囲の監視(OEDR)をシステムが担うため、運転者は監視義務から解放される。
解答・解説をみる
× 誤り
正しくは、監視義務が運転者からシステムに移るのはレベル3からです。レベル2までは運転者が常に周囲を監視する義務を負います。監視主体の移行時期を取り違える記述は、レベル2とレベル3の境界を混同させる典型例です。
問3国土交通省は自動車メーカーとの間で、レベル2以下の運転支援システムについて「自動運転」という言葉を使わないよう合意している。
解答・解説をみる
○ 正しい
レベル2はあくまで運転者主体の運転支援であり、法的に自動運行装置と位置づけられるのはレベル3以上です。

