レベル3の自動運転 (G検定)

レベル3の自動運転

1. 定義と概要

レベル3の自動運転とは、自動車技術者協会(SAE International)が定めるSAE J3016の6段階分類のうち「条件付運転自動化(Conditional Driving Automation)」にあたる段階です。ODD内であれば、システムがDDT(動的運転タスク。ハンドル操作やアクセル・ブレーキ、周囲を見て危険を避けるといった、運転そのものに関わる一連の作業)のすべてを担います。

システムから運転者へ運転操作の引き継ぎを求める合図はテイクオーバーリクエスト(TOR)と呼ばれ、これが出た場合や作動の継続が難しい状況では、運転者がただちに運転操作へ復帰することが前提です。運転席から手足を離せる場面があっても、運転者は呼び戻しに応じられる状態を保ち続ける立場にあります。

日本での代表例は、自動運行装置(レベル3以上の自動運転システムを指す、日本の法律上の呼び方)にあたるホンダ・レジェンドのシステムです。このシステムはトラフィック・ジャム・パイロット(ホンダ・レジェンドに搭載された、渋滞時に運転を代行するレベル3のシステムの名前)と呼ばれます。2020年11月には、国土交通省から世界初の型式指定(国が「この自動車はこの型式として基準を満たしています」と認める手続き)を取得しました。高速道路上・渋滞時・時速約30km以下という限定条件のもとで作動します。

従来の運転支援であるレベル1・2は、システムが操作の一部を補助していても、周辺監視の責任は常に運転者側にありました。レベル3では、ODD内に限り、周辺監視を含む運転操作の主体がシステム側に移る点が大きな転換です。

日本では2020年4月1日に改正道路交通法・改正道路運送車両法が施行され、法令上「自動運行装置」という区分が新設されて、レベル3が制度上解禁されました。改正法の保安基準では、走行環境条件内での安全性確保、条件外での作動禁止、条件を外れる前の運転操作引き継ぎの警報、運転者の状態を監視する仕組み、サイバーセキュリティ対策などが自動運行装置に求められています。

制度の整備から市販車の登場までは、次のような時期の対応関係になっています。

時期 出来事
2020年4月1日 改正道路交通法・改正道路運送車両法が施行され、「自動運行装置」の区分が新設
2020年11月 ホンダが世界初の型式指定を取得
2021年3月 レジェンドが限定リース販売という形で市場に登場

制度が先に整い、そこへ実車が続いた流れがそのまま読み取れます。レベル3が机上の分類にとどまらず、日本の公道で実際に走れる段階へ進んだ経緯を示すものです。

2. 試験対策ポイント

レベル3の定義そのものを、正確な言い回しで押さえておきたいポイントです。ODD内でシステムがDDTのすべてを実行し、TORへの応答は運転者が担うという枠組みです。

レベル2との境界は、周辺監視の主体にあります。レベル2は運転者が作動中も常時周辺を監視し続ける必要があるのに対し、レベル3はODD内であればシステムが周辺監視を担い、運転者は常時の監視を求められません。ただし、TORにただちに応答できる状態を保つことは前提になります。

レベル4との境界は、DDTフォールバック(運転を続けられなくなったときに、安全な状態へ持っていく対応のこと)の主体にあります。レベル3はTORで人間に運転を引き継ぐことが前提ですが、レベル4・5はシステムが自らMRC(最小リスク条件。危険を最小限に抑えた状態のことで、たとえば安全な場所に自動で停車することを指します)へ移行し、人間に依存しません。

関連用語としては、ODD、DDT、TORに加えてDMSまでを束ねて理解したい重要なテーマです。DMS(ドライバーモニタリングシステム)は、運転者がすぐに運転を代われる状態かどうかをカメラなどで見張る仕組みを指します。運転者の復帰を前提にするレベル3だからこそ、その状態を確認する仕組みが組み合わせて求められる関係にあります。

法制度の論点としてまず整理したいのは、2020年4月の改正道路交通法・改正道路運送車両法によるレベル3の解禁と、システムを指す法令上の呼称が自動運行装置である点です。自動運行装置の作動状況を記録しておく作動状態記録装置は、事故のときなどに確認へ使われる装置として、名称と役割の把握が優先される論点です。

実例としては、2020年11月にホンダ・レジェンドが自動運行装置「トラフィック・ジャム・パイロット」で世界初の型式指定を取得したことが、G検定を含む関連試験で参照されます。制度の解禁と実車の型式指定が同じ年に並ぶため、年月と出来事を組にして覚えておくと混乱を避けられます。

3. 関連概念との比較・相違点

自動運転レベル2(部分運転自動化)との最大の違いは、周辺監視の主体です。レベル2は運転者がシステムの作動中も常時周辺を監視し続ける必要があるのに対し、レベル3はODD内であればシステムが周辺監視を含むDDTを担い、運転者は常時の監視を求められません。とはいえ、介入要求にはただちに応答できる状態を保つ点は共通の前提です。

周辺監視の責任がどちらにあるかという一点が、レベル2とレベル3を分ける境界線にあたります。この違いがG検定で重視されやすいのは、レベル3において運転操作の責任が実質的にシステム側へ移る一方、人間には介入要求への即応という別の形の責任が残るためです。周辺監視という一つの役割がどちらの当事者に属するかを正確に切り分けられるかどうかが、レベル2とレベル3を理解するうえでの中心的な論点です。

自動運転レベル4(高度運転自動化)との境界は、DDTフォールバックの主体にあります。レベル3はTORで人間に運転操作を引き継ぐことが前提ですが、レベル4はシステムが自らMRCへ移行してリスクを最小化し、ODD内では人間の介入に依存しません。緊急時や作動継続が難しい状況で誰が最終的な対応を担うかという点が、レベル3とレベル4を分ける本質的な違いです。

裏を返せば、レベル3までは緊急時や作動継続が困難な場面での最終的な対応を運転者が担う段階であり、あくまで人間が安全確保の最終責任者にとどまります。レベル4以降でシステムがMRCへの移行まで自己完結できるようになることで、人間への依存が前提から外れる分だけ自動化の水準が一段引き上がると整理できます。

二つの境界は別々の軸で引かれています。周辺監視とDDTフォールバックという二つの軸で並べると、レベル3の位置がはっきりします。

レベル 周辺監視の主体 DDTフォールバックの主体
レベル2 運転者(作動中も常時監視) 運転者
レベル3 システム(ODD内) 運転者(TORに応答して引き継ぐ)
レベル4 システム(ODD内) システム(自らMRCへ移行)

レベル3は、周辺監視だけがシステム側へ移り、最終的な対応はなお人間に残る中間段階だと読み取れます。二つの軸のうち一方だけが移っている点が、レベル3の位置づけを言い表しています。

4. ビジネス・実務での活用シナリオ

自動車メーカー・完成車開発の分野では、ホンダが高速道路の渋滞時・時速約30km以下というODDに限定した自動運行装置「トラフィック・ジャム・パイロット」をレジェンドに搭載し、2020年11月に世界初の型式指定を取得しました。ODDを限定条件から慎重に広げていく開発アプローチの先行事例となっています。

長距離輸送や移動サービスの分野では、渋滞区間などODDを限定した運用であっても、運転者がハンドルから手を離せる区間ができることで、長距離移動時の身体的な負荷を軽減できます。運転者の疲労を抑えられる区間が生まれること自体が、レベル3の実務的な価値です。

保険・法務・行政の分野では、自動運行装置の作動状況を記録する作動状態記録装置の設置が義務付けられています。事故が発生した際に、自動運行装置が作動中だったかどうかを警察などが確認できる仕組みが、法制度の一部として整えられています。

5. 要点まとめ

  • レベル3の自動運転はSAE J3016の「条件付運転自動化」にあたり、ODD内でシステムがDDTの全てを実行し、介入要求には運転者が応答します。
  • レベル2との境界は周辺監視の主体、レベル4との境界はDDTフォールバックの主体(人間かシステムか)にあります。
  • 日本では2020年4月の改正道路交通法・改正道路運送車両法でレベル3が解禁され、同年11月にホンダ・レジェンドが世界初の型式指定を取得しました。

6. 確認問題

問1自動運転レベル3は、SAE J3016において「条件付運転自動化」に分類され、ODD(運行設計領域)内であればシステムが動的運転タスク(DDT)の全てを実行する。

解答・解説をみる

○ 正しい

レベル3の定義そのものであり、ODD内でのDDT遂行主体がシステムに移る点がレベル1・2との大きな違いにあたります。介入が必要な場面で応答するのは運転者側です。

問2自動運転レベル3では、レベル2と同様に運転者が作動中も常時周辺を監視する義務を負う。

解答・解説をみる

× 誤り

常時周辺監視が運転者の義務であるのはレベル2までで、レベル3はODD内であればシステムが周辺監視を担います。正しくは、運転者はテイクオーバーリクエストにただちに応答できる状態を保てばよく、常時の周辺監視義務はありません。レベル2とレベル3を同一視する記述は取り違えやすい点にあたります。

問3自動運転レベル3とレベル4の違いはDDTフォールバック(緊急時の対応主体)にあり、レベル4ではシステムが自らMRC(最小リスク条件)へ移行し人間の介入に依存しない。

解答・解説をみる

○ 正しい

レベル3はテイクオーバーリクエストで人間に運転を引き継ぐ前提ですが、レベル4以降はシステムが安全な停車などのリスク最小化までを自己完結する点が本質的な違いにあたります。