1. 定義と概要
負の相関とは、2つの変数のうち一方の値が増加すると、もう一方の値が減少する関係のことです。2つの物事の間にある関係性を指す相関という考え方の中で、右肩下がりの向きを持つケースにあたります。
2変数を散布図(2つの変数の値を点でグラフ上に表したもの)に表すと、右肩下がりの分布になります。相関係数(2つの変数の関係の強さと向きを-1から1の数値で表した指標)は0より小さい値をとり、-1に近づくほど負の相関は強く、-1のとき完全な負の相関(すべての点が一直線上に並ぶ状態)となります。この相関係数のもとになる共分散(2つの変数がどれだけ同じ方向に動くかを示す統計量)も、負の相関では負の値をとります。
気温が下がるとおでんの売上が伸びる、商品の価格が上がると需要量(消費者が買いたいと考える商品の量)が下がる、運動量が増えると体脂肪率が下がるといった関係が代表例です。負の相関は逆相関と呼ばれることもあり、同じ現象を指す表現として使われます。
2変数の関係を捉える基本的な分類として、一方が増えると他方も増える正の相関、一方が増えると他方が減る負の相関、目立った関係がみられない無相関の3つに大別されます。このうち負の相関は、散布図を描いた際に右肩下がりの分布として視覚的に把握できるという位置づけにあります。相関係数という数値指標を使うことで、目視の判断だけでなく関係の強さを客観的な数値でも確認できます。
2. 試験対策ポイント
G検定における重要な論点は、散布図の形状と相関係数の符号の対応関係です。負の相関では一方の変数が増加するともう一方の変数が減少するため、散布図に表すと右肩下がりの分布として現れます。値ごとの読み方は次のとおりです。
| 相関係数の値 | 負の相関の強さ | 散布図の分布 |
|---|---|---|
| -1 | 完全な負の相関 | すべての点が一直線上に並ぶ |
| -1に近い | 強い負の相関 | 点が直線に近い形で右肩下がりに並ぶ |
| 0に近い負の値 | 弱い負の相関 | 右肩下がりの傾向が弱い |
符号だけでなく絶対値の大きさもあわせて読み取る必要があります。散布図の見た目と相関係数の符号は対応しており、右肩下がりの分布であれば相関係数は負の値、右肩上がりの分布であれば正の値になるという関係にあります。
具体例としては、気温とおでんの売上、商品の価格と需要量(消費者が買いたいと思う商品の量)、運動量と体脂肪率といった関係が挙げられます。これらはいずれも一方が増えると他方が減るという右肩下がりの関係を示しており、実際の散布図やグラフから負の相関を正しく識別できるかどうかが分かれ目です。
負の相関が確認された場合でも、それだけで一方がもう一方の原因であると断定することはできない点は取り違えやすい論点です。両者が共通の第三の要因である交絡因子(見た目の相関を生み出す、背後に隠れた第三の変数)の影響を受けている場合があります。その影響で見かけ上の負の相関が生じる疑似相関(実際には直接の関係がない2つの変数が、あたかも関係あるように見える現象)の可能性を考慮する必要があります。
3. 関連概念との比較・相違点
正の相関との最大の違いは、散布図の傾きの向きです。正の相関は一方が増えるともう一方も増える右肩上がりの分布になるのに対し、負の相関は一方が増えるともう一方が減る右肩下がりの分布になります。符号で見ると、正の相関の相関係数は0より大きく、負の相関の相関係数は0より小さいという関係にあります。散布図が右肩下がりか右肩上がりかを見分けられれば、相関係数の符号もおおよそ判断できます。
無相関との違いは、相関係数の値の位置づけです。負の相関は相関係数が0より小さい値をとるのに対し、無相関は相関係数が0に近く、散布図上で規則的な傾向がみられない状態を指します。負の相関は関係の向きが逆であるのに対し、無相関はそもそも一定の関係が見いだせない状態という違いがあります。
4. ビジネス・実務での活用シナリオ
小売業では、気温とおでんや鍋物商材の売上との間に負の相関がみられます。気温が下がるほど売上が伸びる傾向があり、最低気温が一定を下回ると売上が伸び始めるといった傾向を、発注量や陳列計画の目安として活用します。天候データと販売データを重ね合わせることで、経験や勘に頼らない需要予測につなげられます。気温という一つの変数の動きから売上という別の変数の動きを見積もる考え方は、負の相関の典型的な応用にあたります。
価格戦略・マーケティングの分野では、商品の価格と需要量の間に負の相関がみられるのが一般的で、値下げがどの程度需要を押し上げるかを把握する手がかりになります。価格を上げると売上個数が減り、下げると売上個数が増えるというトレードオフ(一方を追求するともう一方を犠牲にせざるを得ない関係)の構造を数値で捉えられる点が、価格戦略を検討する材料になります。
金融の分野では、株式と債券のように値動きが逆になりやすい負の相関を持つ資産を組み合わせてポートフォリオ(保有する複数の金融商品の組み合わせ)を構成します。片方の資産が値下がりしてももう片方の値上がりでカバーできるため、分散投資(値動きの異なる複数の資産に資金を配分し、損失の偏りを避ける手法)によるリスク低減の考え方として活用されています。負の相関を持つ資産の組み合わせは、値動きの振れ幅を抑えるうえで欠かせない要素です。
5. 要点まとめ
- 負の相関は一方の変数が増加するともう一方が減少する関係で、散布図に表すと右肩下がりの分布になります。
- 相関係数は0より小さい値をとり、-1に近づくほど負の相関は強く、-1で完全な負の相関になります。
- 気温とおでんの売上、価格と需要量、株式と債券の値動きなど、負の相関はトレードオフの発見やポートフォリオのリスク低減といった実務判断に活用されます。
6. 確認問題
問1負の相関とは、一方の変数の値が増加すると、もう一方の変数の値も増加する関係のことである。
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× 誤り
負の相関は一方が増加するともう一方が減少する関係であり、散布図では右肩下がりの分布になります。一方が増えると他方も増える関係は正の相関であり、向きを取り違えやすい点です。
問22変数間の相関係数が-1に近づくほど、負の相関は強くなる。
解答・解説をみる
○ 正しい
相関係数は0より小さい値をとるほど負の相関を示し、-1に近づくほど関係は強くなります。-1のときは完全な負の相関となります。
問3株式と債券のように負の相関を持つ資産を組み合わせてポートフォリオを構成することは、分散投資によるリスク低減の一例である。
解答・解説をみる
○ 正しい
値動きが逆になりやすい資産を組み合わせると、一方が値下がりしてももう一方の値上がりでカバーできるため、ポートフォリオ全体のリスクを抑える効果が期待できます。

