パターン認識 (G検定)

パターン認識

1. 定義と概要

パターン認識とは、画像・音声・文字などさまざまな情報を含むデータの中から一定の規則性を見つけ出し、あらかじめ定められた複数のクラス(カテゴリ)のいずれかに割り当てる技術の総称です。

処理は大きく2段階に分けられます。対象を区別する手がかりとなる情報をデータから取り出す処理を特徴抽出と呼び、取り出した手がかりをもとに、あらかじめ決められたクラスのどれに当てはまるかを判定する処理を識別(分類)と呼びます。

代表的な応用分野としては、画像に写っているものを判別する画像認識、音声の内容を認識する音声認識、そして画像に写った文字を読み取ってテキストデータに変換する処理をOCR(光学的文字認識)と呼ぶ文字認識の3つがよく挙げられます。扱うデータの種類は違っても、手がかりを取り出してクラスを判定するという2段階の枠組みは共通しています。

パターン認識は機械学習が登場する以前から研究されてきた古典的な工学分野です。人間が自然に行っている識別作業をコンピュータ上で再現することは、精度と速度の両面で長らく難しい課題とされてきました。

従来は、画像の明るさの変化の向きと強さを数値化した特徴量をHOG特徴量と呼び、こうした特徴量を人が設計したうえで識別器に入力する方式が主流でした。

人間の神経回路の仕組みを模したニューラルネットワークを多層に重ねるディープラーニングの登場によって、状況は変わります。特徴抽出から出力までを1つのモデルでまとめて学習する方式を一気通貫学習(英語表記はend-to-end learning)と呼びます。この方式が広がったことで、特徴量の設計を人手に頼らない方向へと変化してきました。

2. 試験対策ポイント

パターン認識を理解するうえでまず整理したいのは、特徴抽出と識別という2段階の枠組みです。データから対象を区別する手がかりを取り出す特徴抽出と、取り出した手がかりをもとにクラスを判定する識別を分けて考える見方は、この分野を理解するうえでの中心的な論点です。

識別に使われる代表的な手法としては、サポートベクターマシン(SVM)・k近傍法・ベイズ分類器・ニューラルネットワークの4つが挙げられ、それぞれ個別のテーマとしてあわせて整理しておきたいところです。

サポートベクターマシン(SVM)は、データを2つのクラスに分ける境界線を求める識別手法です。k近傍法は、近くにある既知のデータの多数決にもとづいて分類します。ベイズ分類器は、確率の考え方を使って、どのクラスに属する可能性が高いかを計算する手法です。ニューラルネットワークは、人間の脳の神経回路を模した情報処理の仕組みで、この4つの手法は個々に別のテーマとして深掘りされることが多いです。

もう一つの分かれ目は、特徴量を人が設計するかどうかという点です。従来は、人がHOG特徴量のような特徴量を設計してから識別器に入力する方式が主流でした。ディープラーニングの登場によって、特徴抽出から出力までを1つのモデルでまとめて学習する一気通貫学習が可能になり、この変遷は取り違えやすい点です。

画像認識・音声認識・文字認識(OCR)は、パターン認識を対象データの種類別に展開した代表例です。これらの個々の技術的な仕組みは、別のテーマとして扱われます。

3. 関連概念との比較・相違点

パターン認識は、個別の応用分野や機械学習と混同しやすい用語です。まずは、それぞれがどの層を指す言葉なのかを並べて確認します。

用語 指している層 パターン認識との関係
パターン認識 データの種類を問わない上位の総称 この記事のキーワード
画像認識・音声認識・OCR 個別の応用分野 画像・音声・文字というデータ種別に適用したもの
機械学習 課題を解くための手法論 課題設定を解く手段の一つ

画像認識・音声認識・OCRとの最大の違いは、上位概念か個別分野かという点です。パターン認識は対象データの種類を問わない上位の総称であり、これら3つはパターン認識を画像・音声・文字というデータ種別に適用した代表的な応用分野という関係にあります。

つまり、これら3つの技術はパターン認識という枠組みの中に含まれる個別の応用例にあたり、包含関係として整理すると全体の見通しがつきやすくなります。

機械学習との最大の違いは、課題設定を指す言葉か、その課題を解く手法論を指す言葉かという違いです。パターン認識は、データをあらかじめ定めたクラスへ分類するという課題設定、いわば取り組むべきテーマそのものを指す言葉です。一方で機械学習は、その課題を統計的な手法によってデータから解かせるための手法論を指す言葉です。

ここで混同しやすいのは、パターン認識が必ずしも機械学習だけで実現されるわけではない点です。例えば、あらかじめ人が定めた基準の数値やお手本の画像との照合によって判定するルールベースの画像処理のように、機械学習を用いない手法によってもパターン認識は実現され得ます。

4. ビジネス・実務での活用シナリオ

金融の分野では、クレジットカードの利用パターンを分析し、通常と異なる挙動を示す取引を自動的に検知して不正利用の疑いをフラグ付けする仕組みに応用されています。日々の利用データから通常の挙動パターンを学習しておけば、人の目では見落としがちな微細な異常も拾い上げられるため、被害が広がる前に取引を止めるといった実利的な効果につながります。

防犯・入退室管理の分野では、生体認証(バイオメトリクス)が本人確認の仕組みとして応用されています。生体認証(バイオメトリクス)とは、指紋や顔などその人固有の身体的特徴で本人確認を行う仕組みです。顔や指紋のパターンを認識するこの仕組みは、鍵やIDカードのように紛失したり貸し借りされたりする心配がなく、なりすましのリスクを抑えながら入退室管理を運用できる点が特徴です。

農業の分野では、収穫物の色・形・傷などのパターンを認識してサイズや等級を自動選別する仕組みに応用されています。人手による検品作業は経験や体調によって判断がぶれやすい一方、パターン認識にもとづく自動選別であれば基準を一定に保ちながら検品作業の省力化につなげられます。

5. 要点まとめ

  • パターン認識とは、データの中から規則性を見つけ出し、あらかじめ定めたクラスに分類する技術の総称で、特徴抽出と識別(分類)の2段階からなります。
  • 代表的な応用分野として画像認識・音声認識・文字認識(OCR)の3つが挙げられ、これらはパターン認識を対象データの種類別に展開したものという関係にあります。
  • 従来は人が特徴量を設計してSVMやk近傍法などの識別器に入力していましたが、ディープラーニングの登場により特徴抽出も含めて自動的に学習する一気通貫学習へと変わってきています。

6. 確認問題

問1パターン認識は、データから特徴を取り出す特徴抽出と、その特徴をもとにあらかじめ定められたクラスへ分類する識別という、2段階の処理としてとらえられる。

解答・解説をみる

○ 正しい

特徴抽出と識別の2段階に分けて整理するのは、パターン認識の基本的な枠組みであり、定義そのものです。取り出した手がかりをもとにクラスを判定する識別の位置づけは、識別手法の違いを整理するうえでの土台になります。

問2パターン認識における特徴抽出は、ディープラーニングが登場した現在でも、必ず人間が設計したルールに基づいて行う必要がある。

解答・解説をみる

× 誤り

従来はHOG特徴量のように人が特徴量を設計していましたが、ディープラーニングのモデルはデータから特徴量そのものを自動的に学習できます。正しくは、特徴抽出も含めて1つのモデルでまとめて学習する一気通貫学習が可能になっており、人手による設計が常に必須というわけではありません。

問3パターン認識の代表的な応用分野として、画像認識・音声認識・文字認識(OCR)の3つがよく挙げられる。

解答・解説をみる

○ 正しい

画像認識・音声認識・文字認識(OCR)の3分野は、パターン認識を対象データの種類別に展開した代表例として並べて理解したいテーマです。個々の技術的な仕組みは、それぞれ別のテーマとして扱われます。