Microsoft (G検定)

Microsoft

1. 定義と概要

Microsoftとは、1975年4月にビル・ゲイツとポール・アレンによって設立された米国の大手IT企業です。基本ソフトの「Windows」、オフィスソフトの「Office」に加え、クラウドサービスのAzure(マイクロソフトが提供するクラウド基盤で、サーバーやAI機能をインターネット経由で利用できる仕組みです)を主力事業としています。

AI研究の拠点になっているのが、1991年に設立された研究部門のMicrosoft Research(Microsoftの研究開発を担う部門です)です。この部門を中心に、大規模言語モデル(大量の文章データから言葉の使い方のパターンを学習し、文章の生成や対話が得意なAIモデルです)の開発を進めてきました。

その代表例が、2020年に発表されたTuring-NLGです。170億パラメータ(AIモデルが学習によって調整する内部の数値の集まりを指し、数が多いほど表現力の高いモデルになりやすいとされます)を持つモデルにあたります。こうした経緯から、MicrosoftはAI研究開発の中心的な担い手の一社と位置づけられています。

従来のMicrosoftは、「Windows」や「Office」といったソフトウェアのライセンス販売を主力事業としていました。しかし2014年にサティア・ナデラがCEOに就任して以降、クラウドとAIへ経営の重心を移してきました。

その転換を象徴するのが、外部のAI研究組織との資本・技術提携です。2019年にOpenAIへ10億ドルを出資したのを皮切りに、2023年には最大100億ドル規模の追加投資を発表するなど、提携を通じてAI戦略を強化する路線をとっている点が特徴です。この提携により、Azure OpenAI Service(「Azure」上でOpenAIが開発したAIモデルを企業が呼び出して使えるようにするサービスです)が2021年11月に発表されました。

2. 試験対策ポイント

Microsoftの基本情報としては、1975年の設立とビル・ゲイツ、ポール・アレンによる創業が土台になります。あわせて、1991年に設立されたAI研究を担う部門「Microsoft Research」の位置づけも押さえておきたいところです。

もうひとつ論点になるのが、OpenAIとの資本・技術提携です。2019年の出資開始以降、Microsoftは単なる技術提供先ではなく、OpenAIの主要な出資者であり、かつ「Azure」というインフラの提供者でもあるという関係にあります。この点は、自社開発を中心に据えるAI企業との違いとして区別しておきたいところです。

混同されやすいのが、Microsoftの名前がつく2つの大規模言語モデルです。発表時期・規模・開発体制を並べると、違いがはっきりします。

モデル名 発表時期 パラメータ数 開発体制
Turing-NLG 2020年 170億 Microsoftの自社開発
Megatron-Turing NLG 530B 2021年10月 5,300億 NVIDIAとの共同開発

規模の大きい後者を自社単独の成果と取り違えないことが、区別のポイントです。また、「Azure」という基盤名と「Azure OpenAI Service」というサービス名も、名称が近く混同しやすい点にあたります。

3. 関連概念との比較・相違点

Microsoftと並べて扱われる企業は、比べる軸を先に決めておくと整理しやすくなります。

比較対象 比べる軸 相手の立ち位置 Microsoftの立ち位置
Google(Google DeepMind) AI戦略の方向性 自社の研究部門を中心に技術開発 外部組織への出資・提携が軸
NVIDIA 事業領域 AI向け半導体(GPU)を供給 クラウド基盤とソフトウェア・AIサービスを提供
OpenAI 組織形態 非営利法人として発足した独立の研究開発組織 主要な出資者かつクラウド基盤の提供元

Googleとの違いは、AI戦略の方向性です。Googleは自社の研究部門であるGoogle DeepMindを中心に技術開発を進める傾向が強いのに対し、Microsoftは外部組織であるOpenAIへの出資・提携を軸にAI戦略を進めています。自社開発を主軸に置くか、外部組織との提携を軸に置くかという違いが、両社を比べるときの軸になります。

NVIDIAとの違いは、事業領域にあります。NVIDIAはAI向け半導体(GPU)を供給するハードウェア企業であるのに対し、Microsoftはクラウド基盤とソフトウェア・AIサービスを提供する企業です。両社は競合関係にあるわけではなく、Megatron-Turing NLG 530Bのように協業する関係でもあります。

OpenAIとの違いは、組織形態です。OpenAIは非営利法人として発足した経緯を持つ、独立したAI研究開発組織であるのに対し、Microsoftはその主要な出資者であり、「Azure」というクラウド基盤を提供する立場にあります。投資先と投資元という関係にある点が、両者を区別するポイントです。

4. ビジネス・実務での活用シナリオ

ヘルスケア分野では、2022年3月に完了したNuance Communications(音声認識AIを手がける企業です)の買収が進みました。この買収を通じて、医師と患者の会話を自動で診療記録に変換する音声認識AI(人が話した音声を文字データに変換するAI技術です)を、「Azure」基盤上で医療機関向けに提供する取り組みが進んでいます。診療記録の作成にかかる負担を軽くする仕組みです。

ソフトウェア開発の現場では、2021年に提供が始まったGitHub Copilot(AIがプログラムのコードを補完・生成してくれる開発支援ツールです)が普及しています。コードの補完や生成を支援することで、開発者の定型的な記述作業を減らし、実装作業の効率化に役立つ機能です。

クラウド・エンタープライズITの領域では、企業が自社システムにGPT系のモデル(OpenAIが開発した、文章の生成や対話が得意な大規模言語モデルの系列です)を組み込む事例が広がっています。「Azure OpenAI Service」を通じてこうしたモデルを呼び出し、問い合わせ対応の自動化や社内文書の検索・要約に活用する例が代表的です。

5. 要点まとめ

  • Microsoftは1975年設立の米大手IT企業で、1991年設立の「Microsoft Research」を中心にAI研究を進め、自社の大規模言語モデルTuring-NLG(2020年、170億パラメータ)を開発しました。
  • 2019年以降OpenAIへ資本・技術両面で提携し、「Azure OpenAI Service」(2021年発表)を通じてOpenAIのモデルをクラウド上で提供する関係を築いています。
  • NVIDIAとの共同開発によるMegatron-Turing NLG 530B(2021年、5,300億パラメータ)のように、他社との協業でも大規模言語モデル開発に関わっています。

6. 確認問題

問1Microsoftは1975年、ビル・ゲイツとポール・アレンによって設立された。

解答・解説をみる

○ 正しい

Microsoftは1975年4月、ビル・ゲイツとポール・アレンにより設立されました。基本情報として押さえておきたいところです。

問2MicrosoftはOpenAIに2019年以降出資しており、「Azure OpenAI Service」によってOpenAIのモデルをクラウド上で提供する提携関係にある。

解答・解説をみる

○ 正しい

2019年の出資開始以降、Microsoftは主要な出資者かつ「Azure」というインフラの提供者として、OpenAIと関係を築いています。

問3Megatron-Turing NLG 530Bは、MicrosoftがOpenAIと共同開発した大規模言語モデルである。

解答・解説をみる

× 誤り

正しくは、Megatron-Turing NLG 530BはMicrosoftがNVIDIAと共同開発したモデルであり、開発の相手はOpenAIではありません。Microsoftの提携先を取り違えやすい典型例です。