デンドログラム(樹形図) (G検定)

デンドログラム(樹形図)

1. 定義と概要

デンドログラム(樹形図)とは、階層的クラスタリングの過程を、個体やクラスタ同士の距離を高さとして木の枝のように表した図です。階層的クラスタリングは、教師なし学習(正解ラベルを与えずにデータの構造やパターンを見つけ出す学習方式)の一種にあたります。和名は樹形図(じゅけいず)で、デンドログラムと樹形図はまったく同じ対象を指す呼び方です。

具体例としては、顧客の購買データをもとにしたセグメント分析や、生物種同士の類似度を系統関係として示す図などが挙げられます。いずれも、似ているもの同士がどの段階でひとつにまとまるのかを、一枚の図の上で確認できます。

クラスタリングの結果を示す方法には、数値の一覧表や散布図(データ点を2次元の座標上に打って分布を表す図)で表す形に加えて、いくつのグループに分けるかを分析に取りかかる前に決めておく手法も広く使われています。

階層的クラスタリングは、はじめに1個体ずつを独立したクラスタとして扱い、最も近い組を順番に結合していく過程を記録する手法です。この結合過程をそのまま可視化した図がデンドログラムにあたります。結合の過程が図として残るため、分析が終わったあとに任意の粒度でクラスタの数を選び直せる点が注目されているわけです。

2. 試験対策ポイント

まず押さえておきたいのは、デンドログラムの軸が何を表しているかという点です。縦軸と横軸の対応は、次のように整理できます。

軸 表しているもの
縦軸(高さ) クラスタ間・個体間の距離、つまり非類似度(データ同士がどれくらい違うかを数値で表したもの)
横軸 個々のデータや、結合済みのクラスタの並び

枝が結合する高さが低いほど両者が似ていることを示し、逆に高い位置で結合するほど遠い関係にあることを示すものです。図の上下がそのまま「どれくらい似ていないか」の目盛りになっているわけです。

デンドログラムを任意の高さで水平に切ることで、分析後にクラスタの数を選べる点も試験対策上のポイントです。あらかじめクラスタ数kを指定してから分析するk-means法とは対照的です。

階層的クラスタリングでは結合の全過程を残したうえで、後からどの高さで切るかによってクラスタ数を柔軟に決められます。この違いは、階層的クラスタリングと非階層的クラスタリングを区別するうえでの中心的な論点です。

デンドログラムを描く際の結合手法には、最短距離法(単連結法)・最長距離法(完全連結法)・群平均法・ウォード法(クラスタ内のばらつきが最小になるように結合していく代表的な結合手法)という名称があります。同じデータであっても、採用する結合手法によって枝の結合順序や高さが変わる点は、混同しやすい組み合わせです。

各手法の具体的な計算方法は階層的クラスタリング側の論点にあたり、デンドログラムの学習では名称と、手法によって結果が変わりうるという性質が試験対策のポイントになります。

3. 関連概念との比較・相違点

非階層的クラスタリングとの最大の違いは、クラスタ数を決めるタイミングにあります。両者を並べると、次のように整理できます。

観点 階層的クラスタリング 非階層的クラスタリング
クラスタ数を決めるタイミング 分析が終わったあとに任意の高さで切って選べる 分析前にクラスタ数kを指定しておく
結果の表し方・代表例 デンドログラムとして結合過程を可視化できる k-means法などが代表的な手法

どちらを使うかは、クラスタ数を先に決められるデータかどうかによって使い分けられます。分けたい数がはっきりしている場面と、まず全体の構造を眺めたい場面とで向き不向きが分かれます。

見た目が似ているために混同されやすいのが決定木(条件分岐を繰り返してデータを分類・予測するモデル)です。決定木は教師あり学習(正解ラベルをもとにモデルを学習させる学習方式)によって作られるモデルそのものとして予測を行うのに対し、デンドログラムは教師なし学習の一種である階層的クラスタリングの結合過程を可視化した図という違いがあります。

木の形をした図という共通点はあるものの、決定木が予測を行うモデル自体であるのに対し、デンドログラムはクラスタリングの結果を表す図にとどまる点が、取り違えやすい論点として扱われます。

4. ビジネス・実務での活用シナリオ

マーケティングの分野では、購買履歴や属性データをもとに顧客をクラスタリングし、デンドログラムで顧客層の近さや階層構造を可視化する取り組みが行われています。切る高さを変えることでターゲットセグメントの粒度を柔軟に選び分けられるため、キャンペーンの規模や目的に応じて対象顧客の範囲を調整できます。

バイオインフォマティクス(生物学のデータをコンピュータで解析する分野)では、遺伝子発現データや生物種間の類似度をクラスタリングし、デンドログラムで系統関係を表現する手法が使われています。系統関係が木構造として残るため、研究対象同士の類似度や進化的な近さを一目で比較できます。

商品企画・小売の分野では、似た購買パターンを持つ商品群をデンドログラムで俯瞰し、切る高さを調整しながらカテゴリ分けの粒度を検討する事例があります。あらかじめカテゴリ数を固定せずに商品群の近さを確認できるため、品ぞろえの見直しや新しい商品カテゴリの設計に応用されています。

5. 要点まとめ

  • デンドログラムは階層的クラスタリングの結果を木構造(樹形図)で表した図で、縦軸の高さがクラスタ間・個体間の距離を示します。
  • 任意の高さで水平に切ることで分析後にクラスタ数を決められる点が、事前にクラスタ数kを指定するk-means法などの非階層的クラスタリングとの違いにあたります。
  • 結合手法(最短距離法・最長距離法・群平均法・ウォード法)によって枝の形が変わり、教師あり学習のモデルである決定木とは目的も学習方式も異なります。

6. 確認問題

問1デンドログラムは、階層的クラスタリングによってデータが結合されていく過程を、個体やクラスタ間の距離を高さとして木構造で表した図である。

解答・解説をみる

○ 正しい

デンドログラムの定義そのものにあたります。縦軸が距離、横軸に個体やクラスタが並ぶ構造をとります。

問2デンドログラムは任意の高さで水平に切ることで、クラスタリングの実行後にクラスタ数を決定できる。

解答・解説をみる

○ 正しい

分析後にクラスタ数を選べる点が、事前にクラスタ数を指定する非階層的クラスタリングとの違いとして扱われます。

問3デンドログラムは、k-means法のようにあらかじめクラスタ数を指定してから分析する手法の結果を可視化したものである。

解答・解説をみる

× 誤り

正しくは階層的クラスタリングの結果を可視化したものであり、クラスタ数を事前に指定する必要はありません。k-means法との取り違えに注意が要る記述です。