ビジネスにおいて、計画通りに物事が進むことは稀です。突発的なトラブルや想定外の事態は、時にプロジェクトの停滞や大きな損失を招きます。
本稿では、あらかじめリスクを予測し、最悪のシナリオを回避するために非常に有効なマネジメント手法である「PDPC法」について解説します。
1. PDPC法とは何か
PDPC法(Process Decision Program Chart)は、目標達成までのプロセスにおいて、起こりうるトラブルを事前に予測し、回避策を講じておくための手法です。
日本語では「過程決定計画図」と呼ばれます。単に問題を解決するだけでなく、「望ましい結果へとプロセスを誘導する」ために、リスクを可視化(見える化)することに最大の特長があります。
2. なぜ今、PDPC法が必要なのか
多くのプロジェクトでは「順調に進むこと」を前提にスケジュールが組まれます。しかし、リーダー層には、常に「もしも、うまくいかなかったら?」という問いを持ち続けることが求められます。
PDPC法を活用することで、以下の効果が得られます。
- リスクの未然防止: 発生しうる問題の芽を事前に摘み取れる。
- 迅速な意思決定: トラブル発生時に、慌てずにあらかじめ決めておいた対策を実行できる。
- 損害の最小化: 万が一のリスクが現実化しても、被害を最小限に食い止めることができる。
3. PDPC法を実行する3つのステップ
PDPC法の作成手順は非常にシンプルです。以下のステップで進めることで、組織として強固なリスク対応計画を策定できます。
ステップ1:問題の初期状態を設定する
計画のスタート地点や、何らかの異常が発生した時点を想定します。
(例:「機械が異常加熱した」という事実を起点とする)
ステップ2:起こりうる不具合を洗い出す
その問題が引き起こすであろう「次の展開」を予想します。
(例:停止システムが作動するか? もし作動しなければ、次はどうなるのか?)
ステップ3:回避策を検討する
想定される問題ごとに、どうすれば「望ましい方向(成功)」へ修正できるか、具体的な対策を書き出します。
(例:小規模な異常なら予備システムを、大規模な異常なら自動消火装置を準備する、など)
4. 経営層への示唆
PDPC法には、過去の事例からパターン化された「強制連結型」や、状況に応じて柔軟に展開を広げる「逐次展開型」といったバリエーションが存在します。重要なのは、手法そのものを守ることではなく、「起こりうる不測の事態を、あらかじめ計画に織り込んでおく」という考え方を組織の文化にすることです。
精緻な計画は重要ですが、本当に優れた計画とは、トラブルへの「備え」が組み込まれたものです。貴社のプロジェクト管理にPDPC法を取り入れ、不確実な時代における経営の安定性を高めていくことを推奨いたします。