1. 定義と概要
Courseraとは、2012年にスタンフォード大学の教員だったアンドリュー・ングとダフニー・コラーが設立した、世界各国の大学・企業と提携するMOOCプラットフォームです。具体的には、アンドリュー・ングが担当した機械学習講座のほか、Google・IBM・Meta社などが提供するプロフェッショナル認定講座を扱っています。
そのほか、大学と提携したオンライン学位プログラム(通学せずオンラインだけで取得できる、大学発行の正規の学位課程)も提供しています。一つの企業や大学だけが運営する講座サイトとは異なり、複数の提携先の講座を横断的に集めている点も特徴です。
従来、大学の講義は入学した学生だけが受講できるものでした。しかし2011年、スタンフォード大学がAI・機械学習などの講座を無料でオンライン公開したところ10万人以上が登録し、世界的な学習需要の大きさが明らかになります。
この経験を踏まえてアンドリュー・ングとダフニー・コラーは翌2012年にCourseraを設立し、大学の講義を誰もがオンラインで受けられる仕組みを本格的な事業として立ち上げました。一人の教員による無料公開が、世界規模の学習プラットフォームへと発展した経緯です。
2. 試験対策ポイント
CourseraはMOOCの代表例の一つであり、この上位概念とセットで整理しておきたいテーマです。MOOCという仕組み自体の詳しい説明は別のテーマとして扱われますが、Courseraはその代表的な担い手として位置づけられます。
設立の経緯としては、アンドリュー・ングが2011年にスタンフォード大学で無料公開した機械学習講座に10万人を超える登録があったことが背景にあり、大学発の講座を大規模に届ける仕組みへの需要の高さを示した出来事です。
Courseraの運営形態の特徴は、大学・企業と提携して講座・修了証(Certificate。講座を修了した証として発行される認定書)・学位プログラムを提供する点にあります。この点は、Udemy(個人講師が講座を出品する形式が中心のオンライン学習プラットフォーム)との対比で理解しやすく、提携先の信頼性を土台にした講座づくりがCourseraの軸です。講座の作り手が個人か組織かという違いは、両サービスの性格を分ける柱になっています。
もう一つ整理しておきたいのが、上場(IPO。企業の株式を証券取引所で誰でも売買できるようにすること)の経緯です。Courseraは2021年にニューヨーク証券取引所(NYSE、ティッカーCOUR)に株式を公開しました。
MIT・ハーバード大学が設立したedX(Courseraと並ぶ大学発のオンライン講座プラットフォーム)など、他のMOOCプラットフォームと合わせて見ておきたい位置づけです。株式公開の有無や運営母体の違いは、複数のMOOCプラットフォームを整理するうえでの手がかりになります。
3. 関連概念との比較・相違点
edXとの最大の違いは設立母体です。Courseraがスタンフォード大学発であるのに対し、edXはMIT・ハーバード大学が設立した組織であり、大学発のMOOCという共通点を持ちながら創業の系譜が異なります。両者とも大学の講義を土台にしている点は共通しており、提携大学の顔ぶれや講座の重なりが両者を分ける違いです。
運営形態の系譜にも差があります。edXは2012年に非営利の共同事業として発足したのち2021年に営利企業「2U」へ売却された経緯を持ち、設立以来一貫して営利法人であるCourseraとは歩みが異なります。
Udemyとの最大の違いは運営形態です。Courseraは大学・企業との提携講座、修了証、学位プログラムが中心であるのに対し、Udemyは個人講師が講座を出品する形式が中心という関係にあります。提携先の審査を経た講座を扱うCourseraと、幅広い講師が自由に講座を公開できるUdemyとでは、講座の性格そのものが対照的です。
三者の違いは、講座を作る主体とその結果としての講座の性格という2つの軸で並べると見通しがよくなります。
| サービス | 講座を作る主体 | 講座の性格 |
|---|---|---|
| Coursera | 提携する大学・企業 | 審査を経た提携講座・修了証・学位プログラムが中心 |
| edX | MIT・ハーバード大学が設立した組織と提携大学 | 大学の講義を土台にした講座が中心 |
| Udemy | 個人の講師 | 幅広い講師が自由に出品する講座が中心 |
混同しやすい組み合わせなので、運営形態の違いから覚えておくと整理しやすくなります。講座の内容が体系的なカリキュラムに沿っているか、個々の講師の専門分野に沿っているかという違いにも表れる部分です。
4. ビジネス・実務での活用シナリオ
人材育成・企業研修の分野では、Google・IBM・Meta・Microsoftなどが発行するプロフェッショナル認定講座を社員のリスキリング(技術の変化に応じて新しいスキルを学び直すこと)に活用する動きが見られます。修了証はLinkedIn上のプロフィールに掲載でき、社内の学習成果を対外的に示せる点が特徴です。
技術の移り変わりが速い分野ほど、社外機関が発行する客観的な証明が学習成果の裏付けとして機能します。企業側にとっても、自社での研修プログラム構築にかかる負担を抑えられる点がメリットです。
キャリアチェンジ・転職活動の場面では、「Google Career Certificates」のような修了証が採用選考時の参考情報として扱われる事例があり、学び直しを転職活動に結びつける動きが生まれています。学位や職歴だけでは示しにくい実務スキルを、修了証というかたちで補える点に意義があります。未経験の分野に挑戦する人にとっては、実務経験の代わりとなる客観的な証明を得られる点も意義の一つです。
高等教育・学位取得の分野では、大学と提携したオンライン学位プログラムを通じて、通学せずに正規の学位を取得できる仕組みが用意されています。地理的な制約や仕事との両立といった事情で通学が難しい人にも、正規の学位という選択肢を開く点に意義があります。働きながら学び続けたい社会人にとって、通学を前提としない学位取得の経路が用意されている意味は小さくありません。
5. 要点まとめ
- Courseraは2012年にスタンフォード大学のアンドリュー・ングとダフニー・コラーが設立したMOOCプラットフォームで、2011年の機械学習講座に10万人超が登録したことが設立の背景にあります。
- 大学・企業と提携した講座・修了証・学位プログラムを提供する点が、個人講師中心のUdemyとの違いです。
- 2021年にニューヨーク証券取引所に上場しており、MIT・ハーバード大学発のedXなど他のMOOCプラットフォームと並ぶ位置づけです。
6. 確認問題
問1Courseraは、2012年にスタンフォード大学の教員だったアンドリュー・ングとダフニー・コラーによって設立された。
解答・解説をみる
○ 正しい
Courseraは2012年、スタンフォード大学のコンピュータサイエンス教員だったアンドリュー・ングとダフニー・コラーによって設立されました。両者はともに同大学の教員であり、共同創業者にあたります。
問2アンドリュー・ングが2011年に無料公開したオンライン機械学習講座に10万人を超える受講登録があったことが、Coursera設立の背景の一つにあたる。
解答・解説をみる
○ 正しい
スタンフォード大学が2011年に無料公開した機械学習などの講座に10万人を超える登録があり、大規模なオンライン教育への需要の高さが示されました。この出来事が、翌2012年のCoursera設立につながっています。
問3Courseraは個人が作成した講座を中心に提供するプラットフォームであり、大学や企業との提携講座は扱っていない。
解答・解説をみる
× 誤り
Courseraは大学・企業と提携した講座・修了証・学位プログラムの提供を中心とする運営形態が特徴です。個人講師中心の運営形態は、比較対象であるUdemyの特徴にあたります。逆の説明は取り違えやすい点です。

