目的変数 (G検定)

目的変数

1. 定義と概要

目的変数とは、ある事象の結果や予測したい対象を表す変数のことです。従属変数(説明変数の値に従って変化するという意味の呼び名)・応答変数(原因への反応を表すという意味の呼び名)・結果変数・被説明変数とも呼ばれ、英語では target variable や response variable と表記されます。

原因側にあたる要素は説明変数(目的変数を予測するために使う、原因側にあたる要素で複数存在できる)と呼ばれ、目的変数はこの説明変数の値に応じて変化するという関係で捉えられます。具体例を挙げると、家賃を予測する場面では家賃が目的変数にあたり、立地・築年数・広さが説明変数にあたります。体重を予測する場面では体重が目的変数、身長・胸囲・腹囲が説明変数という組み合わせになります。

統計学の回帰分析では、原因と結果の関係が認められる事象について、原因側を説明変数、結果側を目的変数として整理する考え方が土台になっています。この整理が機械学習に応用され、教師あり学習では目的変数を正解ラベルとしてモデルに与え、説明変数から目的変数を予測する関数を学習させる仕組みが一般化しました。

目的変数が連続値かカテゴリ(離散値)かによって回帰問題か分類問題かが分岐し、単回帰分析・重回帰分析・クラス分類といった具体的な手法の使い分けにつながっています。

2. 試験対策ポイント

目的変数と説明変数は、それぞれ複数の別名を持ちます。呼び名の対応を並べると次のようになります。

役割 主な呼び名
結果側=目的変数 従属変数・応答変数・結果変数・被説明変数
原因側=説明変数 独立変数・予測変数・特徴量

独立変数は、他の変数に左右されず単独で動かせる値という意味の呼び名です。特徴量は、機械学習の文脈で説明変数を指す呼び方にあたります。呼び方が違っても指している役割が結果側か原因側かという点は同じであり、この対応関係を取り違えないことが重要な論点になります。

回帰問題と分類問題の振り分けも重要なテーマです。分かれ目になるのは、目的変数が連続値(金額や気温のように切れ目のない数値)を取るか、離散値(あらかじめ決めたカテゴリ)を取るかという点です。

目的変数の値と手法の対応関係は、次のように整理できます。

目的変数の値 問題の種類 対応する手法
連続値 回帰問題 説明変数が1つなら単回帰分析、複数なら重回帰分析
離散値(カテゴリ) 分類問題 クラス分類

単回帰分析(説明変数が1つだけの状態で目的変数を予測する回帰分析の方法)と重回帰分析(説明変数が複数ある状態で目的変数を予測する回帰分析の方法)の使い分けは、説明変数の数で決まります。連続値と離散値の区別が、そのまま手法選択の分かれ目になっています。

試験問題で「来月の売上金額を予測する」という設定が示された場合、売上金額は連続値を取るため回帰問題の枠組みで扱われます。反対に「顧客が退会するかどうかを予測する」という設定であれば、退会の有無は離散値にあたるため分類問題として扱われます。

学習方法との対応関係も、目的変数の使われ方を理解するうえでの中心的な論点です。教師あり学習は、目的変数(正解ラベル)と説明変数の組み合わせを使って学習する方法であるのに対し、教師なし学習は、目的変数を使わず説明変数のみからデータの構造やパターンを見つける方法です。

また、説明変数と目的変数の間に相関関係(一方が動くともう一方も動く関係)が見られても、それが必ずしも因果関係(原因と結果の関係)を意味するとは限らない点は、統計の基礎知識として押さえておきたい点です。

3. 関連概念との比較・相違点

説明変数との最大の違いは、結果側か原因側かという役割にあります。目的変数は予測したい結果を表す1つの変数であるのに対し、説明変数は結果を説明するために使う要素であり、複数存在できます。家賃予測の例で言えば、目的変数は家賃という1つの数値ですが、説明変数には立地・築年数・広さなど複数の要素を同時に用いることができます。

この非対称な関係が、目的変数と説明変数を分けて捉える出発点になっています。データセットの一覧が示されたときに、どの列が目的変数でどの列が説明変数かを見分ける視点は、結果を表す列を目的変数として特定するうえでの分かれ目になります。

特徴量との違いは、呼び方が生まれた文脈の違いにあります。統計解析の文脈では原因側の要素を説明変数と呼ぶのに対し、機械学習の実装文脈では同じ役割の要素を特徴量と呼ぶことが一般的です。

いずれも目的変数と対になる入力側の情報を指しており、名称が異なるだけで役割そのものは共通しています。データセットの列を指して「説明変数」と呼ぶ資料と「特徴量」と呼ぶ資料が混在する背景には、統計学由来か機械学習由来かという出自の違いがあります。

4. ビジネス・実務での活用シナリオ

不動産業界では、家賃を目的変数、立地・築年数・広さを説明変数とする重回帰分析によって適正賃料を見積もる取り組みが行われています。複数の説明変数を組み合わせて算出した推定値は、感覚的な価格設定ではなく数値的な根拠を伴う点で、賃料交渉や査定資料の説得力を高める材料になります。

製造業の品質管理では、不良品の発生有無を目的変数、温度・圧力・稼働時間を説明変数とする分類問題として予測モデルを構築する事例があります。不良の発生有無というカテゴリを目的変数に据えることで、異常が起きてから対処するのではなく、予兆の段階で検知して歩留まりを改善する運用につながります。目的変数を「不良品の発生有無」という明確なカテゴリに定めることで、現場の担当者が優先して確認すべき指標も絞り込まれます。

マーケティングやECの分野では、顧客の購入有無や解約有無を目的変数、閲覧履歴や購入回数などを説明変数として予測する取り組みが広がっています。目的変数として何を設定するかによって施策の焦点が変わるため、購入見込みの高い顧客への優先的なアプローチや、解約兆候のある顧客への早期フォローなど、限られたリソースの配分先を絞り込む判断材料として活用されています。

同じ顧客データであっても、目的変数を購入有無に据えるか解約有無に据えるかによって、モデルが導き出す優先順位はまったく異なるものになります。

5. 要点まとめ

  • 目的変数は予測・推定したい結果を表す変数で、従属変数・応答変数とも呼ばれます。原因側の説明変数(独立変数・特徴量とも呼ばれる)とセットで扱われます。
  • 目的変数が連続値なら回帰問題(説明変数1つなら単回帰分析、複数なら重回帰分析)、離散値(カテゴリ)なら分類問題(クラス分類)という対応関係にあります。
  • 教師あり学習は目的変数(正解ラベル)を使って学習し、教師なし学習は目的変数を使わず説明変数のみでパターンを見つけるという対応関係も、あわせて整理しておきたいところです。

6. 確認問題

問1目的変数とは、説明変数の値をもとに予測・推定したい対象の変数のことであり、従属変数や応答変数とも呼ばれる。

解答・解説をみる

○ 正しい

目的変数の定義そのものです。従属変数・応答変数・結果変数・被説明変数といった別名は、対になる説明変数の別名(独立変数・予測変数・特徴量)という対応関係にあたります。

問2目的変数が連続値をとる場合は分類問題として扱われ、離散値(カテゴリ)をとる場合は回帰問題として扱われる。

解答・解説をみる

× 誤り

正しくは、目的変数が連続値なら回帰問題、離散値(カテゴリ)なら分類問題として扱われます。この問いは回帰と分類の対応関係を入れ替えた記述です。

問3教師あり学習では目的変数(正解ラベル)を用いて学習するが、教師なし学習では目的変数を用いず説明変数のみでデータの構造やパターンを学習する。

解答・解説をみる

○ 正しい

教師あり学習と教師なし学習を分ける基準の1つが、目的変数(正解ラベル)の有無です。目的変数を使う学習方法と使わない学習方法の対応関係は、取り違えやすい点です。