1. 定義と概要
構文解析とは、形態素解析によって単語(形態素)へ分割された文章をもとに、語や文節同士がどのような文法的な関係にあるか(文の構造)を明らかにする処理です。たとえば「私は宝くじに当たりました」という文では、「私は」が主語、「宝くじに」が『何に』当たるかを示す文節、「当たりました」が述語という関係を特定します。
自然言語処理(コンピュータに人間の言葉を扱わせる技術分野)の解析は、形態素解析、構文解析、意味解析、文脈解析という4つの処理で構成されます。意味解析(構文解析が出した構造の候補から意味の通るものを選ぶ処理)は、その構造の中から意味的に妥当なものを絞り込む処理です。文脈解析(複数の文のつながりをふまえて意味を確定する処理)は、複数の文にまたがる前後関係を踏まえて意味を確定する処理です。
これらは形態素解析→構文解析→意味解析→文脈解析という順に処理が進みます。構文解析はこのうち2番目に位置し、形態素解析の出力(単語列と品詞)を受け取り、次工程の意味解析へ構造の候補を渡す橋渡しの役割を担います。
4つの工程が扱う対象を順番に並べると、次のように整理できます。
| 順序 | 工程 | 扱う対象 |
|---|---|---|
| 1 | 形態素解析 | 文章を区切った語と品詞 |
| 2 | 構文解析 | 語や文節同士の文法的な関係 |
| 3 | 意味解析 | 構造の候補のうち意味の通るもの |
| 4 | 文脈解析 | 複数の文にまたがる前後関係 |
前の工程の出力が次の工程の入力になる積み上げの流れであり、構文解析はその中間で構造を受け渡す位置にあります。
2. 試験対策ポイント
自然言語処理の解析工程は、形態素解析→構文解析→意味解析→文脈解析という順序で進むという流れは、理解しておきたい中心的な論点です。構文解析は形態素解析で得られた単語列を受け取り、語や文節同士がどのような関係にあるかという文の構造を解き明かす処理で、次工程の意味解析へ構造の候補を渡す役割にあります。
構文解析には、句構造解析と係り受け解析という2つの方式があるという区分も押さえておきたいポイントです。句構造解析は、文を句(複数の語がまとまって1つの働きをするかたまり。たとえば「赤い花」のような語のまとまり)に分け、それらを入れ子状に組み合わせた木構造(根から枝分かれしながら要素同士のつながりを表す、木を逆さにしたような図の形)で文の構成を表す方式です。
一方、係り受け解析は文節や語同士のどれがどれを修飾するかという依存関係を捉える方式で、日本語の構文解析では係り受け解析を用いる手法が一般的とされています。各方式の細かい仕組みは、それぞれ別の学習範囲になります。
構文解析の結果は一つに定まらない場合があるという構文的あいまい性(同じ単語の並びでも、文法的には複数の構造が成立してしまうこと)も整理しておきたい論点です。同じ単語列でも複数の構造が成立しうる場合、どの構造が妥当かの絞り込みは意味解析・文脈解析という後工程が担うという役割分担にあります。
構文解析の下位には句構造解析・係り受け解析が位置づきます。文脈解析の下位には照応解析(代名詞などが何を指しているかを特定する処理)・談話構造解析(複数の文同士のつながり方を捉える処理)が位置づき、この階層関係は解析工程全体を俯瞰する視点として整理されています。
3. 関連概念との比較・相違点
意味解析との最大の違いは、文の構成要素間の関係、いわゆる統語的な構造を割り出す処理か、その構造の中から意味的に妥当なものを絞り込む処理かという点にあります。構文解析は意味解析より前の工程にあたり、構文解析の結果が複数通り成立する構文的あいまい性が生じた場合、どれが妥当かの絞り込みは意味解析以降が担います。
両者は隣り合う工程でありながら、扱う対象が「構造」か「意味」かという点で役割が分かれています。
形態素解析との最大の違いは、文を単語(形態素)に分割し品詞を判別する処理か、その出力を受けて語や文節同士の係り受け・句のまとまりといった構造をとらえる処理かという点にあります。処理順序は形態素解析→構文解析→意味解析→文脈解析であり、構文解析は形態素解析の後、意味解析の前という順番にあたります。
形態素解析が単語という部品を切り出す工程であるのに対し、構文解析はその部品同士の関係を組み立てる工程といえます。
構文解析を実現する2つの方式の違いも、取り違えやすい論点として整理されています。文の捉え方を並べると、次のような対比になります。
| 方式 | 文の捉え方 |
|---|---|
| 句構造解析 | 文を句というまとまりに分け、入れ子状の木構造で表す |
| 係り受け解析 | 文節や語同士のどれがどれを修飾するかという依存関係を捉える |
日本語の構文解析では係り受け解析を用いる手法が一般的とされていますが、各方式の詳しい仕組みは、句構造解析・係り受け解析それぞれの学習範囲に譲ります。名称と説明が入れ替わって示される場面もあるため、どちらがどの捉え方かを結びつけて覚えておくと迷いにくくなります。
4. ビジネス・実務での活用シナリオ
検索エンジンやチャットボット(会話形式でやり取りする対話プログラム)の分野では、ユーザーの質問文を構文解析して主語・目的語・述語の関係を把握します。キーワードの並びだけでは、語順や修飾関係によって意味が変わる質問文の意図を正確に汲み取れない場合があり、構文の構造を捉える処理が意図理解の精度を支えています。
機械翻訳の分野では、原文を構文解析して文の構造を明らかにしたうえで、訳出先の言語の文法構造に組み替えます。日本語と英語のように語順の異なる言語間では、単語を置き換えるだけでは自然な訳文になりません。構文解析で捉えた構造をもとに語順を組み替える処理が、意味の通る訳文を生み出す土台になっています。
文書校正・情報抽出の分野では、文中の主語と述語の対応関係や修飾関係を解析します。主述のねじれといった文法的な誤りの検出や、契約書・レポートからの重要語句の抽出に、構文解析の結果が活用されています。文の構造を機械的に捉えられるからこそ、大量の文書からでも目的の語句を漏れなく拾い出せます。
5. 要点まとめ
- 構文解析とは、形態素解析で分割した単語をもとに、語や文節同士の係り受けなどの文法的な構造を読み解く処理です。解析工程は形態素解析→構文解析→意味解析→文脈解析の順に進みます。
- 構文解析には、文を句のまとまりに分けて木構造で表す句構造解析と、文節同士の修飾関係を捉える係り受け解析という2つの方式があります。日本語では係り受け解析を用いる手法が一般的です。
- 構文解析の結果は一つに定まらない場合があり(構文的あいまい性)、どの構造が妥当かの絞り込みは後工程の意味解析・文脈解析が担います。
6. 確認問題
問1構文解析とは、形態素解析によって得られた単語列をもとに、語や文節同士の係り受けなどの文法的な構造を特定する処理である。
解答・解説をみる
○ 正しい
構文解析の定義そのものです。形態素解析の出力を受け取り、次工程の意味解析へ構造の候補を渡す役割にあります。
問2構文解析の方式のうち、文節同士のどれがどれを修飾するかという依存関係を捉える方式を句構造解析という。
解答・解説をみる
× 誤り
正しくは係り受け解析です。句構造解析は文を句のまとまりに分けて入れ子状の木構造で表す方式で、2つの方式の名称と説明が入れ替わりやすい点として整理できます。
問3自然言語処理の解析工程は、形態素解析→構文解析→意味解析→文脈解析の順に進む。
解答・解説をみる
○ 正しい
解析工程の順序そのものです。構文解析は形態素解析の次、意味解析の前という位置づけにあります。

