1. 定義と概要
Megatron-LMとは、NVIDIAが2019年に発表した学習フレームワーク(AIモデルを学習させるための土台となるソフトウェア)です。論文「Megatron-LM: Training Multi-Billion Parameter Language Models Using Model Parallelism」で発表されました。
大規模なTransformer(文章中の単語同士の関係性に注目して処理する、現在の大規模言語モデルの基本構造)系言語モデルを、モデル並列という手法で学習するために使われます。また、その手法で学習されたモデル自体を指す名称でもあります。
発表時には、83億パラメータ(AIモデルの中にあり、学習によって調整される数値。数が多いほど複雑な表現を学習できる可能性が高まる)のGPT-2型モデルと、39億パラメータのBERT型モデルを、512基のGPUを用いて学習しました。この結果によって、モデル並列が巨大モデルの学習に使える手法であることが示されています。
ディープラーニングのモデルは、性能を高めるためにパラメータ数を増やす巨大化が進んできました。ただし、モデルの規模が1つのGPUのメモリ容量を超えると、そのままでは学習できないという壁に直面します。
学習データを分割して複数GPUに同じモデルのコピーを配るデータ並列(学習に使うデータを複数のGPUに分けて、同じモデルのコピーで同時に学習を進める方法)だけでは、モデル自体が大きすぎて1つのGPUに載らないという問題は解決できません。Megatron-LMは、モデルの内部(「Transformer」の行列演算など)を複数のGPUに分割して協調計算させる方法を示すことで、この壁を乗り越える手立てを提示しました。
2. 試験対策ポイント
G検定における重要な論点は、単一のGPUのメモリに収まらない巨大なモデルを複数のGPUに分割して学習させるモデル並列という手法を、Megatron-LMが採用したフレームワークとして扱われる点です。学習データを分割するデータ並列との違いを理解するうえでの中心的な論点です。
モデル並列とデータ並列の違いも重要なテーマです。データ並列は、同一モデルの複製を複数のGPUに配置し、学習データを分担して処理速度を上げる方式です。一方でモデル並列は、モデル自体(重みや層内部の演算)を複数のGPUに分割し、1つの巨大モデルを協調処理する方式です。両者は互いに排他的な関係にあるわけではなく、組み合わせて使われることもあります。
Megatron-LMは2019年にNVIDIAが発表し、83億パラメータのGPT-2型モデルと39億パラメータのBERT型モデルの学習で、モデル並列が実用に耐えることを示しました。パラメータ規模の巨大化競争という文脈では、Turing-NLGやGPT-3と並んで登場する用語です。
3. 関連概念との比較・相違点
巨大化競争の文脈で並ぶ3つは、開発主体・パラメータ数・技術的な貢献という3点で見分けられます。
| モデル | 開発主体 | パラメータ数 | 主な位置づけ |
|---|---|---|---|
| Megatron-LM | NVIDIA | 83億 | モデル並列という学習手法を示した |
| Turing-NLG | Microsoft | 170億 | 規模の上ではMegatron-LMを上回る |
| GPT-3 | OpenAI | 1750億 | 性能や応用面で広く注目された |
Turing-NLGとの比較で軸になるのは、開発主体の違いです。両者とも2019年から2020年前後に登場し、単一GPUに載らない巨大モデルを扱う点は共通しています。Megatron-LMの意義は、モデルそのものの性能というより、モデル並列という学習手法を提案した点にあります。
GPT-3との比較では、開発主体がOpenAIであり、NVIDIAとも「Microsoft」とも異なります。パラメータ数はMegatron-LMの約20倍という規模で、モデルの性能や応用面で広く注目されました。一方のMegatron-LMは、巨大なモデルをどう学習させるかという分散(複数の計算機に処理を分けること)学習の方法論を示した点に特徴があります。Turing-NLGとGPT-3それぞれの詳しい特徴は、各モデルを扱う記事に譲ります。
4. ビジネス・実務での活用シナリオ
国産大規模言語モデルの開発という場面では、国内の研究機関がMegatron-LMを基盤に、日本語能力を高めた1720億パラメータ規模の大規模言語モデルを独自データセットで学習させた事例があります。海外発の学習フレームワークが、国産LLM開発の基盤技術として活用されている例です。
GPUベンダーによるAI基盤の提供という観点では、NVIDIAがMegatron-LMの後継技術である「Megatron-Core」を提供しています。企業が自社のGPUクラスタで独自の大規模言語モデルを学習するための土台として位置づけられており、モデル並列という技術が実務でも活用され続けている理由になっています。
企業間の共同開発による巨大モデル構築の例もあります。NVIDIAと「Microsoft」が共同で、Megatron-LMとDeepSpeed(「Microsoft」の分散学習技術)を組み合わせ、5300億パラメータのMegatron-Turing NLGを開発した事例です。複数企業の技術を組み合わせて巨大モデルを構築する先例となりました。
5. 要点まとめ
- Megatron-LMは、NVIDIAが2019年に発表した、モデル並列によって単一GPUに載らない巨大な言語モデルを学習するフレームワーク(およびそのモデル)です。
- モデル並列は、学習データを分割するデータ並列とは異なり、モデル自体(重みや層内部の演算)を複数のGPUに分割して協調学習させる手法です。
- パラメータ規模の巨大化競争では、Megatron-LM(83億・NVIDIA)、Turing-NLG(170億・Microsoft)、GPT-3(1750億・OpenAI)が並び、開発主体・規模・技術的な貢献の違いがあります。
6. 確認問題
問1Megatron-LMは、単一のGPUのメモリに収まらない巨大な言語モデルを、複数のGPUに分割して学習させるモデル並列という手法を用いたフレームワークである。
解答・解説をみる
○ 正しい
モデル並列はMegatron-LMの核心的な技術で、モデル自体を複数のGPUに分割して協調計算させる方式です。NVIDIAが2019年の論文で提案しました。
問2Megatron-LMで採用されているモデル並列は、学習データを複数のGPUに分割し、同じモデルのコピーで並行処理する手法である。
解答・解説をみる
× 誤り
この記述はデータ並列の内容です。モデル並列はモデル自体(重みや層内部の演算)を複数のGPUに分割する手法であり、データ並列とは分割の対象が異なります。
問3Megatron-LMは、GPT-3やTuring-NLGと同様に大規模言語モデルの巨大化競争の文脈で登場するが、開発主体はNVIDIAであり、OpenAI(GPT-3)やMicrosoft(Turing-NLG)とは異なる。
解答・解説をみる
○ 正しい
Megatron-LMの開発主体はNVIDIA、GPT-3はOpenAI、Turing-NLGは「Microsoft」と、それぞれ異なる企業が開発しています。

