山口高平 (G検定)

山口高平

1. 定義と概要

山口高平とは、人工知能を「人の知的な振る舞いを模倣・支援・超越するための構成的システム」と定義した日本の研究者です。ここでいう構成的システムとは、頭の中の理論だけでなく、実際に動くシステムとして作り上げることを重視する考え方を指します。

この定義は、松尾豊編著・人工知能学会監修の書籍『人工知能とは』に、複数の研究者による定義の一つとして収録されており、G検定の教材でも「人工知能に統一された定義がない」ことを示す例として引用されます。

山口氏の専門は、知識工学(専門知識をコンピュータに蓄積・活用させる技術分野)とオントロジー(人間が使う言葉や概念を体系化しコンピュータに意味を理解させる技術)の二分野です。あわせて、セマンティックWeb(Web上の情報にコンピュータが理解できる意味情報を付け加え、検索や連携をしやすくする仕組み)も専門としています。

経歴を見ると、2004年から2022年まで慶應義塾大学理工学部教授を務め、2022年に名誉教授。2023年からは神奈川大学情報学部教授を務め、人工知能学会(日本の人工知能研究者が集まる学術団体)の会長も2012年から2014年まで務めました。

G検定のテキストでは、人工知能という言葉に専門家の間でも統一された定義がなく、研究者ごとに捉え方が異なることを示すため、複数の研究者による定義文を並べて紹介する構成になっています。松尾豊(東京大学教授)や長尾真(「人間の頭脳活動を極限までシミュレートするシステム」という定義を示した研究者)の定義は「人間のような知能をつくる」という人間の再現に重心を置いています。中島秀之(知能を持つ実体という捉え方を示した研究者)の定義も近い方向性にあります。

これらに対し、山口氏の定義は「模倣」に加えて「支援」「超越」までを射程に含めています。人工知能が人間の能力を補助したり上回ったりする可能性まで見据えている点が、山口高平の定義の特徴です。

2. 試験対策ポイント

山口高平の定義文「人の知的な振る舞いを模倣・支援・超越するための構成的システム」と、研究者名の対応関係は、あわせて整理しておきたいところです。他の研究者の定義文と並べると、誰がどの定義を示したのかがつかみやすくなります。

研究者 人工知能の定義文
山口高平 人の知的な振る舞いを模倣・支援・超越するための構成的システム
松尾豊 人工的につくられた人間のような知能、ないしはそれをつくる技術
中島秀之 人工的に作られた知能を持つ実体、あるいはそれをつくろうとすることによって知能自体を研究する分野
長尾真 人間の頭脳活動を極限までシミュレートするシステム

これらの定義文と山口氏の定義文の入れ替えは、混同しやすい組み合わせです。

松尾豊と中島秀之、長尾真は、それぞれ山口氏とは異なる立場から人工知能を定義しています。名前と定義文を一対一で結びつける整理こそが、この論点への対策になります。

山口氏自身の専門分野である知識工学・オントロジー・セマンティックWebは、G検定では知識工学の歴史に位置づく領域として扱われます。具体的には、知識表現(コンピュータが扱えるように知識を記号やルールの形で表す手法)やエキスパートシステム(専門家の知識をルール化し、専門家のように判断を下すコンピュータシステム)といった技術がこれにあたります。

これらは第二次AIブームの動きとして、G検定では「人工知能をめぐる動向」の章で扱われます。定義文の暗記と、これらの歴史的な経緯の理解は別の論点として整理されます。加えて、人工知能に統一された定義が存在せず専門家によって定義が割れているという前提そのものも、個別の定義文を覚える前提として重要な論点です。

3. 関連概念との比較・相違点

松尾豊の定義との最大の違いは、機能面の広がりにあります。山口氏の定義は「模倣・支援・超越」という三つの働きに焦点を当てており、人間を模倣するだけでなく、支援したり超越したりする可能性まで含んでいます。これに対して松尾豊の定義は「人間のような知能をつくる技術」というように、人間の再現や模倣を主眼にした技術志向の定義です。同じ人工知能の定義でありながら、射程とする範囲が異なる点に注意が必要です。

中島秀之の定義との最大の違いは、定義が指し示す対象の範囲にあります。山口氏の定義は「構成的システム」という、完成した実体としてのシステムを定義の対象にしているのに対し、中島秀之の定義は実体だけでなく「知能自体を研究する分野」という学問領域までを定義に含めています。つまり、山口氏の定義がシステムという成果物を指すのに対し、中島氏の定義は研究分野そのものまで射程に入れているという関係にあります。

4. ビジネス・実務での活用シナリオ

企業内の専門知識を蓄積・共有する取り組みでは、山口氏の専門であるオントロジーが、企業内のFAQシステムや専門知識の継承ツールに応用されています。属人化した暗黙知(言葉にしにくい経験的な知識)を形式知(文章やデータとして記述された知識)として蓄積する取り組みに、言葉や概念を体系化する技術が生かされている形です。

介護・接客ロボティクスの分野では、知能ロボティクスの研究成果が、対話型ロボットによる高齢者の見守りや接客対応など、人の作業を補う応用に生かされています。これは山口氏の定義における「支援」の側面と対応する動きといえます。

マーケティング・データ分析の分野では、山口氏の専門の一つであるデータマイニング(大量のデータから有用な規則やパターンを発見する技術)が、購買データから顧客の行動パターンを見つけ出し、施策立案に活用されています。

5. 要点まとめ

  • 山口高平は、人工知能を「人の知的な振る舞いを模倣・支援・超越するための構成的システム」と定義した研究者で、慶應義塾大学名誉教授(現・神奈川大学教授)、人工知能学会の元会長です。
  • 山口氏の定義文と、松尾豊・中島秀之・長尾真ら他の研究者の定義文を区別し、名前と定義を対応させることが、ここでの要点です。
  • 人工知能に統一された定義が存在せず専門家ごとに捉え方が異なるという前提こそが、複数の定義文を対比させて整理する取り組みの土台です。

6. 確認問題

問1山口高平は、人工知能を「人の知的な振る舞いを模倣・支援・超越するための構成的システム」と定義した。

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○ 正しい

山口氏の定義文であり、松尾豊編著の『人工知能とは』に収録された複数研究者の定義の一つとして知られています。

問2山口高平は、慶應義塾大学名誉教授であり、人工知能学会の会長を務めたことがある。

解答・解説をみる

○ 正しい

2004年から2022年まで慶應義塾大学理工学部教授を務め、2022年に名誉教授となりました。2023年からは神奈川大学教授であり、人工知能学会の会長は2012年から2014年まで務めています。

問3「人工的につくられた人間のような知能、ないしはそれをつくる技術」という定義を示したのは山口高平である。

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× 誤り

この定義文は松尾豊のものです。正しくは、山口氏の定義文は「人の知的な振る舞いを模倣・支援・超越するための構成的システム」であり、両者の取り違えに注意が必要です。